暖かさの秘密
綿が入っているので、とても暖かく感じます。しかし、なぜ綿が入っていると暖かく感じるのでしょうか?
人体から出る僅かな湿気や、空気中の水分が綿繊維に保たれます。それが体温で暖められることにより、暖かさを増します。
ふっくら感がなくなってきたら、陽に干してみてください。干すことによって、伸びきってしまった綿繊維が縮み、綿に空気の層をつくります。
これにより、ふっくら感が蘇ります。
表生地の秘密
アクリル・ポリエステルの化繊タイプ
アクリル60%ポリエステル40%でできた表生地はしなやかで且つ、発色性が高く、染色堅牢度性能に大変優れた生地です。特に耐光堅牢度、及び生地の耐久性に優れています。
陽に干して色あせることなく長期に使用できます。綿100%の物に比べると肌触りの良さは劣りますが、首周りに直接触れる部分には綿100%別珍(綿ビロード)を使用しているので心地よく着ることができます。この産地でも『久留米はんてん』として最も多く生産され、また歴史があるタイプです。
※弊社では東洋紡の子会社である『日本エクスラン工業』のアクリル繊維を使用しています。
(日本で最初のアクリル繊維メーカーであり、生産から最終加工までの工程をすべて日本国内の工場で行っています)
綿100%のタイプ
紡績から糸染め、生地の整理加工まで全てを日本で行っています。特徴として、久留米織ならではの堅牢な染めと発色性の良さがあります。天然繊維独特の風合いや肌触りのよさ、伝統的な和の柄枠をご堪能下さい。久留米織(表生地:綿100%)の綿入りはんてんもグレードの高い製品として好評を得ています。
手縫いでの仕上げ縫製
ミシンで縫うと、生地同士が圧着してしまい、ごわつき感のある着心地となってしまいます。
当店では、はんてんを製造する工程の半分は手縫いで縫製を行っています。これにより、綿が入っているにもかかわらず着た時のごわつき感がなく、しなやかさな着心地となります。
海外製・安価品との違い
海外製・安価品
・中綿がポリエステル100%であるため、暖かさが損なわれる。
・干してもふっくら感が復活しない。(綿繊維が入っていない為)
・全てミシン縫い仕上げなので、着てもごわつき感がある。
当店製品
・綿入りなので、とても暖かい!
・干すことによりふっくら感が何度でも蘇る!
・手縫い縫製なので、ごわつき感がなくしなやかな着心地!
中綿について
木綿わたは吸湿性・保温性に優れ、復元力に富んでいます。
また、木綿の繊維は、中空で天然のよじれをもっているため、日干しをすることにより吸収した湿気を放湿するとともに、あらゆる繊維の中で最も優れた「かさ高性」の回復力をもっています。
ポリエステル・羊毛・羽毛のような繊維は、一旦ヘタってしまったら、御日様に日干ししてもかさ高く回復いたしません。
とても微細な繊維である綿は、吸湿性が非常に高く、繊維の内側と外側に温度差が出来ると内側の水分を吸ってこれを外側に放出しようとします。
その際に気化熱を奪うために全体の温度が下がり、夏にも涼しく爽やかに着る事が出来ます。
綿繊維は天然の撚りがあるのでふっくらと空気をたくさん含んだ綿わたにすれば、繊維の中が中空になっているので熱伝導率が低く、熱が放出されにくい為、冬は大変暖かく着ることが出来ます。
デシ綿(Desi Cotton)を中綿に使用しています
インド・パキスタン周辺が原産国で繊維が太く短いのが特徴です。
デシ綿は米綿(世界の9割以上生産されている品種)に比べて繊維が太いと言われており、綿の繊維が太いと丈夫で弾力性があるので、敷布団や袢天に最も適していると言えます。しかし、デシ綿の生産量低下による価格上昇で、流通も少なく、一部の商社でしか今では取扱いしていません。
弊社の製品は今尚、デシ綿の中綿を使用しています。
つまり、太い綿繊維は多くの空気の層を含み尚かつ熱が放出されにくいので大変暖かいのです。
例えば肌着等であれば、速乾性(熱エネルギーの放出スピード)がないと熱伝導が悪く逆に体を冷やしてしまいますが、肌に直接触れて着用しないアウターなどでは、体から放出された熱エネルギーを蓄える要素が高いほうがより暖かく感じます。
デメリットとしては、湿気を取る為に時々天日干しなどをすることが望ましいことです。しかし乾燥した冬場は湿気を持つことはありませんので、シーズン後に洗濯した後に天日干しすればまた繊維が「かさ高性」を発揮しふっくらとした回復を得られます。
また、ポリエステルを混用することにより、より一層と空気層ができ暖かく、ふっくら感が増します。長年培ってきた適度な混用率が綿70%ポリエステル30%です。(久留米産の袢天はこの混用が殆どです。一部抗菌綿などを使用した物を除く)
※久留米袢纏協同組合でなか綿の使用は綿が50%以上入っていなければならない取り決めがあります。
中綿の特性としては以上の様になります。
この違いが、我々の製品が海外製や安価品と比べ最も指示されているポイントです。(着ていると本当に暖かいと絶賛されます)
全ての製品が微妙な違いで価格に反映されています。
我々は日本国内で製造している限り、この微妙な違いが大変重要な要素です。
ネジ一本でも海外産とは違うと言われるように、繊維でも国内産の微妙な良さは何にでもあります。
久留米はんてんを購入した人は10年〜それ以上は着ているといった方が殆どです。
暖かく手放せない存在となり、暖房費の節約になり環境に優しい製品です。
紡績から製品に至るまで数々の工程の中に日本人の物作りの素晴らしさがあります。
久留米はんてんの歴史・年表
■江戸時代末期、井上伝によって久留米絣が発案され、後に全国的に久留米絣が広まる。
■久留米縞 1876年(明治9年)久留米絣として生産されていた縞柄を小川トクが田中久重に揚框(あげわく)機の製作を依頼し量産化に入る。
■戦後、久留米市の卸商が綿入はんてんの製造加工販売を開始する。
■昭和25年頃、織物業者による綿入りはんてんの製造開始。
■昭和35年頃より、久留米絣が全国的に知られていることから「久留米はんてん」と称するようになった。
■昭和37年頃には革新織機が入り、さらに織物が盛んな町と変っていく。この頃より、関西地区(後に関東、全国区に販売が始まり全国的に販売が始まる)
■昭和53年「久留米はんてん協同組合設立」
■平成3年、産地全体で綿入りはんてんの生産量が250万枚を超える。大量生産で価格も他産地より安価にできた為、綿入りはんてんの製造としてほぼ全国を占めるようになりました)
その後は徐々に中国産の輸入品も入り出し、また時代の変化とともに生産量が減っていきました。しかし品質の良さから需要はあるが手縫いでの仕上げなので縫い子さんの不足や後継の問題で限られた生産枠になっていきました。
生地から製品まで仕上げる織物産地はこの久留米・筑後地区だけと言っても過言ではありません。
(通常は、機屋・生地屋・縫製屋・最後にメーカーと分業した物作り構成となっています。)
他産地にはない一貫した物作りで競争力を高めて努力しています。安価で良い物ができるのは一貫した製造工程だからできる事です。
当社の本場久留米はんてんは「綿入りはんてん専用中綿」を使用しております。自社工場にて熟練の職人が1つ1つ、手作業にて綿を詰め、縫製し、厳しい検品を受け合格した製品だけが出荷されています。
軽く・暖かく・丈夫で着心地の良いはんてん。
自信を持ってお送りできる、自慢の商品です。
デシ綿(Desi cotton)電子顕微鏡比較
一般的な衣料品に使われる"米綿"と綿の郷の袢纏に使われている"デシ綿"を電子顕微鏡を使い500倍に拡大した画像です。
デシ綿の方が繊維が太くよく布団などに使われています。
そう、綿の郷の久留米はんてんの暖かさの秘密は一般衣類ではあまり使われないデシ綿をたっぷり詰め込んでいるおかげなのです。
お客様のご感想で「お布団を着ているみたい」というコメントはまさにその通りで着るお布団と言っても過言ではありません。
近年はシェアの問題からデシ綿を生産する人が年々減少傾向にあり大変希少価値の高いものになりつつあります。
久留米はんてんの良さを少しでも多くの人に知ってもらいたいとの思いから、格安にてご案内している袢纏ですがデシ綿の価格高騰で
これまでの価格での生産が年々難しくなっているのが現状です。いつまでご案内しているお値段で続けられるか分かりませんが綿の郷は良い商品をなるべく安くご提供できればと日々製品開発に勤しんでいます。